しかし、「Painterを快適に使う12の方法」の内容でも、ver.12で有効なものが有るので、Painterの動作が重い場合は、この記事と併せて参考にしてください。
→参考:ADDRESSING BRUSH LAG IN SERVICE PACK 1
(ブログ CAROLINE'S PAINTER INSIGHTS より)
1. Painterが使用するマルチコア数を減らす
メニュー→編集→環境設定→パフォーマンス画面(図1)にある「マルチコアの使用」の設定値(図1の赤い四角で囲んだ部分)に、CPUが持っている全コア数を指定しないこと。(図1 環境設定のパフォーマンス画面)
例えば、CPUが物理的に4コア持っていて、(インテル社のHT機能のような)仮想コア機能も持っている場合は、Painterは全部で8コア存在しているとみなします。
その場合、「マルチコアの使用」の値は最大でも『7』を設定し、決して限界値の『8』に設定しないでください。
この場合、減らした1コアは、OSが使う分に回されます。
また、他のソフトウェアを同時起動させてPainterを使用する場合は、そのソフトウェアが使うCPUコアが必要となるため、Painterに割かれるコア数を更に減らす必要があります。
Painterの処理で全てのコアを占領してしまうと、OSその他の処理が滞り、結果、全体の速度低下を起すようです。(自分はシングルコア(仮想含め2コア)環境なので、精密に検証した訳ではありません)
補足1
「マルチコアの使用」設定はPainter12.1で搭載されました。なので12.1のパッチを当てないと、設定箇所自体が存在しません。→Painter12 アップデータダウンロード(公式)
2. ブラシバリアントのマルチコア設定を適切にオン/オフする
Painter12では、各ブラシバリアント毎にマルチコア処理を する / しない という設定が出来るようになりました。この設定はブラシコントロールパネルの一般にあります(図2)。
メニュー→ウィンドウ→ブラシコントロールパレット→一般をクリック。
(図2 ブラシコントロールパレットの一般パネル)
インストール直後は、全てのブラシバリアントでマルチコア設定がチェック(有効)状態になっています(図2の赤い丸で囲んだ部分)。
マルチコア処理を有効にすると、CPUの演算処理が各コアに分散されるために演算が速く終了し、結果ソフトウェアの動作が軽くなるのが一般的です。
しかしPainter12のブラシバリアントでは、マルチコア処理をすると、オーバーヘッド作業で逆に動作が重くなるブラシが一部に存在します。
また、同じブラシバリアントでも、マルチコア処理にして描画速度が速くなる場合と、そうでない場合があるので、使いどころを見極めないといけません。
これらの2点の見極めのためには、ブラシバリアントの性質を少し知っておく必要があります。
(2-1) 描点の種類による大まかな分類
一般パネル(図2)で、「描点の種類」のリストをクリックすると(図3)一覧が表示されます。(図3 描点の種類のリスト)
リストに列挙された描点の種類について、Painterに機能として搭載された時期で大きく三つに分けることができます。
(表1 描点の種類による分類)
グループA(古い) | グループB(やや新しい) | グループC(新しい) |
---|---|---|
円形 | キャメルヘアー | リキッドインク系 |
1ドット | フラット | 水彩系 |
ブリスル | パレットナイフ | 混色系 |
取り込み | ブリスルスプレー | アーティストオイル |
消しゴム | エアブラシ | |
レンダリングされた円形(※) | エアブラシ (ピクセル) | |
エアブラシ (線状) | ||
エアブラシ (線状) | ||
レンダー |
(2-2) 各グループ毎の特徴
グループAは、ドットや画像の連続によって描線を表示するというやり方を採用しているブラシバリアント群です(図4)。このやり方はPhotoshopやSAIでも採用されている定番の(古典的な)描画方法でもあります。(図4 ドットの連続による描画イメージ)
グループAは、マルチコア設定の恩恵をあまり受けないブラシバリアントと考えてください。特に円形や消しゴムに設定されているブラシバリアントはマルチコア設定をオフにしても問題ないです。
グループBについては、メモリ上でシミュレート演算を行った後に実際に描画する(レンダリング処理)、という性質をもったブラシバリアントです。
グループCについては、これらはPainterの中でも、さらに特殊で複雑な演算を行って描画しているブラシバリアント群です。
グループBとグループCについては、マルチコア設定の恩恵を受けやすいブラシバリアントです。
と、まとめておいてなんですが、事はそんなに単純ではなくて、グループAのブリスルに設定してても、
- 手法 「水彩」
- サブカテゴリ 「リアルウェット○○」
また例え、グループAの円形でも、400を越えるような巨大なブラシサイズで描画するならば、マルチコア設定をオンにした方が動作が軽くなります。
グループBやグループCでもアーテイストオイルは、ブラシサイズが小さいのならばマルチコア設定を切った方が動作が軽くなりやすいです。
グループCのリキッドインク系や水彩系などは印刷解像度のキャンバスサイズで使用するならば、マルチコア設定をオンにした方が描画速度が速くなると思われます。
(2-3) 結論
これらCPUに演算負荷がかかる状況は、実際に使うPC環境によって変わります。なので、一概に「この値にした方がいい」と言うことができません。
各自、各々のブラシバリアントを使って、マルチコア設定のオン/オフを試して、動作が重ければ設定を外すといった試行錯誤をし、動的に運用した方がいいです。
円形や消しゴムで、ブラシサイズが小さい場合の用途ではマルチコア設定を切りましょう。
代表的なバリアント名で言えば、ティントカテゴリの標準丸筆(図5)やパステルカテゴリのオイルパステル(図6)、消しゴムカテゴリの消しゴム(図7)等がそれです。
(図5 ティントカテゴリの標準丸筆)
(図6 パステルカテゴリのオイルパステル)
(図7 消しゴムカテゴリの消しゴム)
補足2
(※)…「レンダリングされた円形」は、Painter12で搭載されました。グループAの中では複雑な処理をしている部類なので、グループAのその他のものよりも、演算処理に負荷がかかります。関連エントリ