そのいった状況の中でも、比較的新しいメイキング本が、これです。
【Amazon.co.jp】
ペンタブレットによる イラスト彩色 プロフェッショナルテクニック (プロの現場から学ぶ!)
発売が2010年の8月。
三人のイラストレーターによる共著で、山下しゅんや氏(表紙 中央)、, Wolfina氏(表紙 左)、森永こるね氏(表紙 右)となっています。
(以下、敬称略)
Painterを使っているのはこのうちの二人で、山下しゅんやとWolfina。
〔山下しゅんや〕 Painter X(10)+ Photoshop(バージョン記述無し。おそらくCS3)
〔Wolfina〕 Painter 11 + Photoshop CS4
〔森永こるね〕 SAI + Photoshop 5.5
内容の一部については、Amazonにて「中身検索」で見ることが可能です。
ページ数については各人およそ50P~60Pで、各ソフトウエアの使い方について説明されているものではありません。
「こういう絵を、こういったソフトウェアで、こういう風に使って描いていきます」と製作過程を詳らかにしているといった感じです。
その工程の途中で、こういう風に使うと便利ですよ、といったTipsも少ないですが混ざっています。なので、読む人のソフトウェアの理解度によっては、「この機能ってそういう使い方もできるのか」という発見があるかもしれません。少なくとも自分はありました。
ただ各ソフトウェアのトリッキーな使い方をしているというものはなく、割と素直な使い方をしているメイキングといった印象です。
山下しゅんや編
「Painter」というものに特化した見方をするならば、山下しゅんやのメイキングが、初心者の役に立つと思います。特に、0.5のシャープペンシルでクリンナップした主線をスキャン、Painter10のデジタル水彩で着色→乾燥→着色という工程はデジタル水彩の特性を理解しやすいと思います。
デジタル水彩ではみ出しを気にせず塗り、後からデジタル水彩消しゴムではみ出しを消す、という旧水彩そのまま手順をされているのに、読んだとき懐かしさを覚えました。
デジタル水彩を乾燥した後は、通常のブラシバリアントでも描画可能なので、チョークカテゴリのバリアントを使って描きこみながら修正、調整をしていく手法も、Painterの作画方法としては定番の一つです。
この方法はPainter11でもPainter12でも、もちろん可能で、率直にいって真似しやすい技術です。
Wolfina編
Wolfinaは Painter → Photoshop → Painter → Photoshop という感じで、二つのソフトウェアをかなり頻繁に行き来しています。各工程中、各パーツのマスクレイヤー等、目的のものを作りだすための記述が、説明文章も図も分かりにくく、このメイキングは中級者以上を対象としている印象を受けました。
Painterはスキャンした下書きを清書する際と、純粋に着色する工程で使っているのみです。CGの過程上で生まれてくる、煩雑な作業部分はPhotoshopで行う、と分担してました。
というか、頭から最後まで滝のように一気に説明されているので、文章の構成が正直よくない。分かりやすくなっていない。中項目や小段落をつくって「作業の目的はなにか?」と明確にして説明をした方が、読むほうからすれば分かりやすいと思います。これは編集側の仕事ですが。
Wolfinaのメイキングを見てPainterを理解したいなら、古い本ですが「キャラクターをつくろう!CG彩色テクニック 8 」の方が分かりやすかったと思います。(ただし、こちらはPainter 8で製作している)
【Amazon.co.jp】
キャラクターをつくろう!CG彩色テクニック 8 (キャラクターをつくろう!)
森永 こるね編
申し訳ないですが、自身がさほどSAIに精通していないのでコメントは控えさせてください。ただ読んでて複雑なことをされていないので、SAIの使い方が簡単にでも一通り分かっているのなら、十分役立つメイキングだと思います。
主線をペン入れレイヤー(ベクター)で描いているあたりは、技術的に参考になると思います。
《関連サイト》
・ペンタブレットによる イラスト彩色 プロフェッショナルテクニック 目次(技術評論社のページ)