(1) キャンバス

Photoshopの背景とほぼ同じもので、Painterに古くから搭載されている通常のブラシバリアント(ex,ティントカテゴリ(図2-1)、パステルカテゴリ等多数)や、デジタル水彩(図2-2)、リアルウェット油彩(図2-3)等、多くが描画可能なエリアです。

〈図2-1 ティントカテゴリ〉

〈図2-2 デジタル水彩カテゴリ〉

〈図2-3 リアルウェット油彩〉
レイヤー機能との一番の違いは、透明度の概念がないこと。なので、背景全面に、ぺーパーカラーとして選択した色(デフォルトでは白)で塗りつぶされたレイヤーと考えた方が、まずは無難です。
しかし実際は、通常のレイヤーと同じように見えて、細かい所で色々と機能が異なります。
参考:Painterの安全なコピー&ペースト方法(1/2)、Painterの安全なコピー&ペースト方法(2/2)
可能であれば、キャンバス1枚のみで描ききってしまう方が(Painterの安定動作的に)最上の選択です。
補足1
デジタル水彩でキャンバス上に描画すると、目に見えない(レイヤーパネル一覧に表示されない)デジタル水彩レイヤーがキャンバス上に作られます(図2-4)。
〈図2-4 デジタル水彩レイヤー概念図〉
キャンバスで描かれた内容と、デジタル水彩レイヤーで描かれた内容は、当初は混ざらず、デジタル水彩で描画した内容が乗算で表示されます。
しかし、デジタル水彩固有の乾燥を行うと、その時点で、キャンバスに固着し、一体化したとみなされます(図2-5)。

〈図2-5 デジタル水彩の乾燥処理概念図〉
すると、乾燥する以前に描かれたデジタル水彩の描画内容は、通常のブラシバリアント(図2-1)で追記できるようになります。
また乾燥を行った時点で、デジタル水彩レイヤーは一旦消滅しますが、デジタル水彩のブラシバリアントで再び描画すると自動的に生成されます。もちろん、これも目に見えません。
(2) レイヤー
CGソフト全般的に言われる所のレイヤー(通常レイヤー)。ただしPhotoshop的な動作を期待してはいけません。実際は『レイヤーもどき』と言った方が妥当です。
その昔、Photoshopは「レイヤー」方式を、Painterは「フローター」方式を推していましたが、Photoshopのシェア拡大に伴い、実質的に「レイヤー」方式が業界標準となりました。これにより、Painterも「レイヤー」方式に変更しましたが、フローター時代の機能の名残があって『レイヤーもどき』状態になっている、と言った方が正しいです。
キャンバスと同様、通常ブラシバリアントとデジタル水彩、リアルウェット油彩等多くのブラシバリアントが描画可能です。デジタル水彩を乾燥させるとレイヤーに固着する動作も同じです(図2-6)。

〈図2-6 レイヤーでのデジタル水彩の概念図〉
あと、レイヤーマスク機能も持っています。
補足2
同一のデジタル水彩バリアントを、キャンバス上に描画した場合と、レイヤーに描画した場合とでは描画結果が異なります。そのため、同じ描画結果するためには、一手間必要になってきます。Charakoさんのサイトの「6. キャンバスへの描画とレイヤーへの描画の結果」を参考にしてください。
(3) 水彩レイヤー

水彩カテゴリ(図2-7)とリアル水彩カテゴリ(図2-8)のブラシバリアントのみが描画できる、特殊レイヤーその一。

〈図2-7 水彩〉

〈図2-8 リアル水彩〉
描画すると合成モードが強制的にフィルターになる特性あり。むしろ、フィルターモード以外で使うことを想定してない模様です。
乾燥の概念を持っていて、乾燥を行うと、それまでの描画内容が水彩レイヤーに固着します。
乾燥後は、新しく描画した内容が、同一レイヤーにもかかわらず乗算で表示されます。が、これは水彩のパラメータの一つ「水分量」で調整できる範囲のことなので、デジタル水彩の様に乾燥するタイミングについてどうするか、厳密に意識しなくても大丈夫です。
確定を実行すると、水彩レイヤーから通常のレイヤーに変換されますが、確定後は通常レイヤーと同様の扱いです。また、PSD形式で保存しても通常レイヤー扱いになります。
確定処理は、レイヤーパネルの水彩レイヤーを右クリックすることで実行可能です(図2-9)。

〈図2-9 水彩レイヤーの確定〉
水彩レイヤーもレイヤーマスク機能を搭載していますが、Painterが不安定になるので、使用についてお奨めできません。
→[3/3]に続く
関連エントリー
◇Painterでのレイヤーの種類について[1/3]
◆Painterでのレイヤーの種類について[2/3]
◇Painterでのレイヤーの種類について[3/3]