この記事は、Painter11 を含む古いバージョンで有効です
[3/4]からの続きです。始めから読む方はこちら[1/4]から。
ペン入れ
ここでは、パーツを分けてペン入れします。装飾の多い衣装を描く場合などは特に、各パーツ事に色を分けてペン入れすると便利になることが多いです。(1) ブラシセレクタのペンカテゴリの「スクラッチボード」を選択。
ブラシサイズを適宜変更しつつキャンバスにペン入れ。今回、描画色は黒を選択しました。
〈図27 ブラシセレクタのスクラッチボード画面〉
「スクラッチボード」は、漫画制作で使われるつけペン(Gペンや丸ペンなど)によく似た「入り」と「抜き」を表現できるペンです。
必ずこのブラシでペン入れしなければいけない、という決まりがあるわけではなく、各個人の好みでペン入れ、もしくは清書していいと思います。
例えば、下書きで使用したエアブラシカテゴリの「先細エアブラシ3」のブラシサイズを1.0~1.5程度に便宜変更しつつペン入れしても全く問題ありません。
基本的に作業中は画面の拡大・縮小や、キャンバスの回転(図28)、ブラシサイズを変えながら、線を描いていきます。
〈図28 拡大かつキャンバスが回転した状態〉
これらの上記の操作は、メニューや画面左下にあるスライダ、ツールボックスなどいくつかの方法で変更できます。しかし個人的には、キーボードショートカットを覚えた方が描く作業を中断しなくてすむため、かなり便利です。
以下にこれらのキーボードショートカットを列挙します。
拡大 Space + Ctrl + クリック
25%きざみで動きます
縮小 Space + Ctrl + Alt + クリック
25%きざみで動きます
手の平移動 Space
キャンバスを動かします。
用紙回転 Space + Alt + ドラッグ
くるくるまわる。Windowsは必ずSpace(一時手の平ツール)から先に押すようにするといい。
回転した用紙を元に戻す Space + Alt + クリック
上記と同じキーボードを押しつつ、ペンタブの先でちょんと軽くクリック。
ブラシサイズの変更 Ctrl + Alt + ドラッグ
スライダに移動せずともブラシサイズの変更ができる便利機能。
(2) 分かりやすい様に、髪や足の部分を分けてペン入れをします。
(2-1) レイヤーパレットの新規レイヤーボタン(図29の赤い丸で囲んだ部分)を押し、新規レイヤー「レイヤー1」を作成。同作業を繰り返し「レイヤー2」を作る。
〈図29 レイヤーパレット内の新規レイヤーボタン〉
(2-2) 「レイヤー1」を「足」に、「レイヤー2」を「髪」にレイヤー名を変更。
(2-3) 青色を選択し足レイヤーをペン入れ。
(2-4) 赤色を選択し髪レイヤーをペン入れ。
髪は顔と、足はすねの部分と重なる構図であったため、パーツ毎にレイヤー分けしてペン入れします。また、分かりやすくするため、それぞれペン入れの色を赤と青に分けました(図30)。
〈図30 パーツ毎にレイヤー分けしてペン入れした状態〉
(2-5) 髪レイヤーを選択し、レイヤーパレットの「透明度ロック」のチェックボックスをオンにする(図31の赤い丸で囲んだ部分)。
〈図31 透明度がロックされた状態〉
これで、描いた線(髪のペン入れした部分)以外の場所には描画できなくなりました。
(2-6) 再び黒色を選択する。ツールボックスの現在の選択色が黒なことを確認して(図32の赤い丸で囲んだ部分)、メニュー→効果→塗潰しを実行。
〈図32 現在の選択色が黒の状態〉
それまで赤色だった髪の描線が、黒になるのを確認します。
(2-7) 足レイヤーを選択し (2-5)、(2-6)と同様の操作をする。
(2-8) Shiftキーを押しながら髪レイヤーと足レイヤーを順にクリックし、2つのレイヤーを選択状態にする(図33)。
〈図33 髪レイヤーと足レイヤーを選択状態〉
レイヤーパレットのレイヤーコマンドボタン(図34の赤い丸で囲んだ部分)を押し、固定を実行(図35)。
〈図34 レイヤーパレット内のレイヤーコマンドボタン〉
〈図35 レイヤーコマンドの一覧画面〉
これで、髪と足のレイヤー部分がキャンバスに一体化されました。
(2-9) 髪や足と同様に、猫の部分でも繰り返し作業して、ペン入れします。
最終的に、キャンバスに黒のペンでペン入れした状態となるはずです(図36)。
〈図36 ペン入れ完了〉
(画面は下書きレイヤーも薄く表示している)
主線のレイヤー化(線画の抽出)
ペン入れして清書した線は現時点でキャンバスに描かれていますので、これをレイヤー上に移します(線画の抽出)。また、後の着彩作業のために、主線以外の部分は透明にしておきます。(1) レイヤーパレットで、キャンバスを選択し、メニュー→選択範囲→自動選択。
自動選択ダイアログの参照元に「画像の明るさ」を選択してOKボタン押下。
これで、主線部分が選択された状態になります(図37)
〈図37 主線が選択された状態〉
(2) 新規レイヤーを作成し、色を選択。ここでは分かりやすいように茶色を選択しました。しかし、主線の色が黒のままで構わない場合は黒を選択してください。
(3) 新規レイヤー1の透明度がロックされていないことを確認し、メニュー→効果→塗潰しを実行。
ここで透明度がロックされていると、レイヤー1に何も描写されないので注意してください。
実行結果は、下図38のようになっています。
〈図38 主線がレイヤー化された状態〉
レイヤー1に、茶色で主線が再描画されました。
主線以外の部分が透明になっていることを確認するには、キャンバスを非表示にする(目のアイコンを閉じる)とよくわかります(図39)。
〈図39 主線以外が透明な状態(キャンバス非表示)〉
(4) キャンバス上の主線(黒)を全消し。
レイヤーパレットでキャンバスを選択し、メニュー→選択範囲→全て選択(またはショートカットコマンドCtrl + a)のあと、メニュー→編集→消去(またはBackspaceキー押下)
(5) 「レイヤー1」の名前を「主線」に変更。
以上、ここでペン入れ作業は終了です。
通常この先は、この主線を保護して色を塗ったりするわけですが、今回はここまでです。お疲れ様でした。
今回、制作した線画(原寸)。
【参考】Painter11でペン入れしてみた
Ver.9.5で行ったペン入れ作業([4/4]に該当)と同じ事ができます。大きな違いはメニューの「塗潰し」の場所が、メニュー→編集→塗潰しに変わっていることぐらいです。
補足1
主線の色は主線レイヤーを透明度ロックして、変更したい色で塗潰せば、いつでも変えられます。補足2
キャンバス上にあるペン入れ完成絵を、全選択した後レイヤー変換しても主線はレイヤー1に移動できます。しかし、この方法だと主線以外の部分が、白と認識されてしまいます。この場合、主線レイヤーより下に配置したレイヤー(キャンバス含む)が表示できなくなるので、レイヤーの表示を「デフォルト」から「フィルタ」や「乗算」に変えなければなりません。
しかしPainterの仕様上、この方法はあまりお薦めできません。それはこの後の着彩作業中に、色々と余計な手間が発生しやすくなるからです。
補足3
アナログでペン入れした線画を、スキャンして使用する場合、ゴミ取りや線の修正を行ったあとに主線をレイヤー化以降の作業を行うと良いです。関連エントリー
◇Painterで下書きからペン入れの方法[1/4]【下準備作業】~【ラフを描く】
◇Painterで下書きからペン入れの方法[2/4]【ラフ修正作業】
◇Painterで下書きからペン入れの方法[3/4]【ペン入れ用下準備】~【無地テクスチャの作成】
◆Painterで下書きからペン入れの方法[4/4]【ペン入れ】~【主線のレイヤー化(線画の抽出)】
・Painterでのペン入れ(古い方法)
・Painter11でペン入れしてみた